866の軌跡 ~=LOVE冬の全国ツアー「866」 感想と雑記~
866
=LOVEを好きで追いかけている人からしたら、その三桁が何を意味するのか
この数列を見ただけで心のなにかが動く感覚になるだろう。
今からちょうど10年前の2012年、AKB48でも同様に意味を持たせた数字である【1830】がアルバムやコンサートタイトルとなったことがあった。
1830
これは秋葉原のドン・キホーテに併設されているAKB48専用劇場から東京ドームまでの距離だ。
グループの公式ブログの前タイトルが示していたようにAKB48は東京ドームでのコンサート実現を目標に置いていたことから、この【1830】という数字は当時のAKB48を応援していた人々からしたら特別な意味をもつ数字であったことは間違いない。
共に東京ドームでの単独公演を夢にみていた当時の私からすると、アイドルグループにおいて特別な意味をもつ数字というのは目にするだけで理由のない胸の高まりと同時に、その数字を意識し大切にしたいという感覚がまざまざと蘇ってくる。
「推す」というのは本当に奇妙な感情であり衝動だと思う。
私たちヲタクが「推し」に対して抱く【好き】という感情は「恋」とも違うし「愛」とも違う。
「愛されたいから愛す」という感覚から湧き上がってくる依存の感情のような気もするし、はたまた無償の愛のように相手を愛おしく大切にしたいと願う気持ちで形成されているような気もする。
なんならどれも正解であり不正解。
彼女たちが大切にしたいと考えているモノは一緒に大切にしたいし、だからこそ目指す何かがあるなら一緒に追いかけて掴みたい。
別に直接的に彼女たちに「何か」できるわけではなくても。
それでも「推す」という感覚をもって追いかけている自分の中では、共に時間を過ごし、同じものを追いかけているという疑似的な気持ちが生まれてくるのだ。
【866】日という彼女たちが=LOVEとして歩んできた時間は、私たちファンにとっても特別でかけがえのない大切な数字であり歴史そのものだからこそ 今の私にとってこの三桁はあの時と同じように特別な三桁なんだと思う。
2019年10月3日
【特報🎊】
— =LOVE_official (@Equal_LOVE_12) 2019年10月3日
2019-2020冬
=LOVEからお知らせです!https://t.co/LU4fOJMeAd#イコラブ
突如公式からツイートされた告知動画で、冬に5都市を巡るツアーを行う旨が公開された。
そのツアータイトルが この【866】だ。
彼女たちが=LOVEとしてデビューしたあの日から、中野サンプラザで2周年コンサートを行ったその日まで歩いてきた道のりを示す三桁。
何かを重ねる毎に確実に進歩し、その積み重ねで飛躍する=LOVEが創り出すこのツアーがあまりにも素晴らしいライブでありコンサートだったからこそ 敢えて感想を丁寧に残しておきたいと思った。そしてそれを発信して誰かと共有したいとも。
そのくらい目覚しい成長を彼女たちは遂げているし、それをファンとしてしっかり目に焼き付けたいとも思った。
2019年12月25日
仙台rensaを皮切りに 866ツアーがスタートした。
キャパ700人のライブハウスへ明らかにオーバーしている観客が詰め込まれた令和最初のクリスマス。
1.いらない ツインテール
2.記憶のどこかで
3.今、この船に乗れ!
4.届いてLOVE YOU♡
5.ようこそ!イコラブ沼
6.虹の素
7.Sweetest girl
8.推しのいる世界
9.ドレミソラシド
10.きっかけ
11.ガラスを割れ!
12.ズルいよ ズルいね
13.手遅れcaution
14.樹愛羅、助けに来たぞ
15.アイカツハッピーエンド
16.探せ ダイヤモンドリリー
17.Want you! Want you!
18.「部活中に目が合うなって思ってたんだ」
19.866
アンコール
20.僕らの制服クリスマス
21.スタート!
22.=LOVE
正直、レンズ越しに見ているのがもったいなかった。
別の物質を通すことなくすべての時間を自分の目で見たいと感じた。
いつものovertureの後、新しいツアー仕様の衣装に身を包んだ11人がステージに出てきた瞬間のワクワクを一生忘れたくない。何か辛いことが有った時に、あの瞬間の感情を丸ごと箱から取り出すことが出来たら、きっともうひと頑張りできるとさえ思う。
そのまま流れるいらないツインテールのイントロ。
1.いらないツインテール
イコラブテイストにデコレーションされたショッキングピンクのトラメガは、初めていらツイが披露された5thシングル発売記念全国握手会の福岡会場で「スイッチがうまく入らなくて悔しかった」なんていう可愛いハプニングからは想像もつかない位サマになったピンクエンジェルがすっかり使いこなしていた。
ステージのサイドに設置されたお立ち台で「この会場は我々が乗っ取ったー!」と叫ぶなぎちゃんを見上げていたら、「あぁ、そうだ、私この曲をいつかライブハウスで見たいと思ってたんだ・・・」なんて感傷的になってしまったから不思議。
ずっともったいないと思っていた。
ヘビメタ調のこの曲をパフォーマンスするイコラブをみていて、「踊らされている」という錯覚。そしてどうこの曲を生かしたらいいのか明らかに迷っている12人と、それを見てどう反応すべきか困惑するファンたち。
ヲタクの適応能力とか瞬発力って面白いもので、初見の曲でも適当に盛り上げることができるし適当に楽しむことができる。だがもともとこのグループを応援しイベントに足を運んでいる人たちは、正直なところライブで「ノる」ということが得意ではないからこそ、コール&レスポンスが上手く作用しないこのグループにとっていらないツインテールは或る意味「不得意分野」だったのではないか。
2019年、ライブパフォーマンスに力を入れると掲げて頑張ってきたイコラブがずっと長いこともがいていた「煽り」だけれど、この866ツアーでのいらないツインテールはその集大成かの如くフロアとステージが一体となる空気に包まれていた。
TIFのあとすっかり鉄板になった舞香の煽りがいつからかこの曲をライブでやるうえでの醍醐味になったし、やっぱりイコラブにとっての佐々木舞香という存在は異常なまでに大きいんだと感じた。
彼女はすごい。
顔が良いとか声が良いとか、そんな単調なことだけではなくて、空気も読めるしちゃんとそれを伝染させて無駄な時間のないMCにつなげることだってできる舞香の強みは圧倒的にこの曲を引き立たせて生かしてくれている。影響力があるからこそ。
まぁシンプルに顔が良いんですが。えぇ。
ただ「盛り上がっていくぞー!」なんて声を張り上げても、なぜか上手く拳を突き上げることができない瞬間が多かったけれど、もうそんなことで立ち止まっていた彼女たちは居ないし、ライブハウス独特の閉塞感と蒸し暑さが圧倒的に11人の味方をしていた。どんなに首から重たいカメラを下げていても、肩や腕を重力の掛かるまま下していることなんてできなくて、可愛い衣装とは釣り合わないくらいのどすの効いた声やすごみの効いた目線で煽ってくるメンバーに、心も身体もぐいぐい引き上げられるような1曲目。
そこから息つく間もなく流れるように2曲目の記憶のどこかで。
2.記憶のどこかで
1stシングルのカップリングであり、手遅れcationとカテゴリーが似通ってしまうが故に最近なかなかライブでお目にかかれることが少なくなってきたからこそ、単独ライブならではの時間。
いろいろな過程を経て目まぐるしく歌割やポジションが変わった秋以降のイコラブだけれど、この曲において個人的にすごく嬉しかったことが 花菜に与えられたポジションだった。落ちサビ前のダンスパートでは上手と下手に分かれてソロダンスとグループダンスががっつり設けられている記憶は、これまで衣織ちゃんと杏奈がこれを引っ張る構成になっていたが、866ツアーで衣織ちゃんとシンメになっているのは花菜。
6thシングルの予約イベントで自分の努力と評価が噛み合わず「悔しい」と涙する彼女の気持ちが痛いくらい伝わってきていただけに、このポジショニングは大抜擢でもあると同時に適材適所だとも感じた。
イコラブきってのダンス番長でもある衣織ちゃんの横で、全く遜色ないどころかしなやかで女性らしい踊り方ができるようになった花菜のソロダンスは、妖艶でちょっとドキドキするから目が離せない。大好きな宝塚の影響を受けているのか、今までにも増して中性的な表情も垣間見えるからこそ、失恋の曲なのに感覚が女性寄りになりすぎていないし、一方的ではない一つの物語として全体がまとまるようになった。
そして年月を重ねてちょっとだけ大人になった今のイコラブが織りなす記憶のどこかでは、沙夏ちゃんの大人びた低めの歌声が本当に良く合う。いつぞやのSHOWROOMで「私は声が低いからウォンチューみたいな明るい曲が苦手」と話していた沙夏ちゃんだけれど、そうやって自分の声質や特徴、得意不得意をしっかり見極めて自己評価できるのは簡単なようでそうじゃないし、ちゃんと分析結果がパフォーマンスに反映できるのは凄い。ちょっとだけ気分がパフォーマンスを左右しやすかったイメージのある沙夏ちゃんだけど、最近すっかり安定感が出てきたようにも思う。 安定感があることは必ずしも良いことではないけれど、アーティスティックな沙夏ちゃんの歌声に安定感が味方するのは本当に強い。
冒頭のアイドルからしたら「異端」な2曲が終わって照明が落ちると、次の瞬間再び明るくなったステージには今までとは打って変わったキラキラのアイドルスマイルをうかべ スネアのリズムに乗っかって手拍子を求める11人が。
3.今、この船に乗れ!
去年の春先に行われた東名阪ツアーではこの曲名がそのままツアータイトルになっていたが、単調だけど一番イコラブらしい楽曲じゃないかと思っている。
このツアーにおいて何より特筆すべきは全体構成でもあり、この冒頭2曲から3曲目への場面転換だと述べたいからこそ、ここの流れは本当に秀逸。
イコラブってこんなに空気変えるのうまかったっけ・・・?
目を離すことなんてなかったはずなのに、いつの間にかまた進化していたからこの子たちは凄い。一生懸命前に進むグループだからこそ目が離せない。余計に。
4.届いてLOVE YOU♡
5.ようこそイコラブ沼
ここから4.5曲目は2nd c/wである届いてlove youとイコラブ沼。
グループ全体の中だるみが気になった時期、この曲特にイコラブ沼で明らかに手を抜くメンバーが居たのも事実だし、確かに他の楽曲に比べると深い意味もメッセージ性もない2曲。
でも、なかなかその時の「色」が出にくいイコラブのライブにおいて、らぶゆー中盤のなぎちゃんの「大好きだよ」は各地の方言だったりその時のライブを色づけてくれる大事なポイントではなかろうか。そしてなによりㇵの字眉毛でその言葉を待って、「大好きだよ」と共に最高にだらしないへらへら笑顔で溶け落ちていく我が推し野口衣織が最高に可愛い。本当に可愛い。まじで可愛い。生きててくれてありがとう。
イコラブ沼のサビって手抜くとめちゃくちゃかっこ悪いから、その時期のイコラブ沼はもういっそのこと「見たくないな」と思ってしまっていた。だけど今回のツアーでは純粋に11人がそれぞれ「楽しい!」と感じている素直な気持ちを素直に顔に出してくれていたから、見ていて本当にこっちも「楽しい!」となった。笑顔が伝染するって素敵だ。やっぱりアイドルって素晴らしいよ。大好き。
あと強引に追記したいけど
「個性豊かな12人そろってる」
でお立ち台に座る衣織ちゃんがえっちすぎて困る。好き。(知能3)
そしてメンバー4人がステージに残り、少数でのMCを挟んで暗転。
6.虹の素
たぶんこのツアーの中でも特に衣織ちゃんが力を入れているんだろうと感じる 虹の素。
ついこの前ツイートもしたけど、実を云うとこの曲の振付が心から「良い!」と言えない自分が居るから憎い。せっかくただ「口から音源」という類だけではないナマモノの感情を歌声にのせられる2人があてがわれている曲なのにも関わらず、歌詞と振付が直結している安易さがどうしても受け入れられなくて。
本当に声量が有るか音域が群を抜いて広いかしないと、「顔色伺って」の「か」の音ってかなり低音だからしっかり歌うのがすごく難しいのではないかと思うけど、披露された当初はものすごく歌いにくそうにしていた衣織ちゃんがみるみる発語の良い歌い方に変わっていく姿を見て、聴いて、感じるのが大好きで。曲そのものというよりは私の中では衣織ちゃんの成長をこれ見よがしに浴びられるからこそ、そのためにこの曲を見られる時間を大切にしたいと思っている。
最初はしゃがんでいる状態から始まっていたのに、このツアーを境にだったか忘れてしまったけれど、いつからかこちら側に背を向けて立つ舞香に衣織ちゃんがもたれるような姿勢で曲が流れるようになった。それが単純に、後ろにいる観客からも演じている2人の世界が見えやすいようにと変更されたのか違う意味が含有されているのかどうかは分からないけれど、共依存ともとれる舞香と衣織ちゃんの曲中の関係性がもたれ合う姿勢で表現されているような気がして、個人的にはこっちのほうが好きかもしれない。
「欲しいものはないのに満たされてないのは
君も同じ気持ち今は信じられない」
「近づくのは怖い 離れるのも怖い
ただのわがままだと 自分でも分かってる」
ここの衣織パート→舞香パートの掛け合いがすごく好きで、呼応して手が届きそうな距離にいる2人がお互いを求めるのに怖くてそれ以上近づかないのが哀しくて寂しくて。でもその気持ちが自分にもあるから、誰かと関わるのが怖くて、でも独りは寂しくて誰かにそばにいて欲しい感覚がリアルだからこそ、ここの2人のやり取りをみていると潰されそうな気持ちが苦しい。毎回そう。
「約束できないなら ここから早く逃げ出してよ」
ここで見えない壁を叩き続ける2人が忘れられない。ずっと。
ハッピーエンドだとは言えない曲だけど絶対に誰しもが感じたことのある気持ちが歌詞に詰め込まれていて、衣織ちゃんと舞香それぞれの解釈をもって全身でそれを伝えようとするエネルギーのぶつかり合いが著しい。最初はむき出しの感情がただぶつかり合うだけだったこの曲も、今ではすっかり良い意味で落ち着いたし、静かな苦しさがあふれ出すことで余計に感情が染み入るようになった。だからこそいつか躍り狂う虹の素じゃなくて、しっとり歌う虹の素が見たいなぁ・・・
7.sweetest girl
8.推しのいる世界
ここからはユニット曲。
今回のツアーをもってMV衣装が初めてファンの前にお目見えしたけれど、SGの衣装はお姫様みたいだし、推しセカのキラキラふわふわ衣装はチュールとレースが最高に可愛い。眼福がすぎる。イコラブは本当に顔が良い。可愛い。
SG冒頭はマネキンに扮したメンバーたちに㍉がそれぞれ命を吹き込んでいく曲入りで、衣装も相まって本当に魔法にかけられていくような感覚になる。シンデレラを彷彿とさせるあの演出すごく好き。
そして何より誰より莉沙ちゃんが可愛いんだわ。ぶっちゃけた話だけど今まで莉沙ちゃんにスポットが当たるような機会ってあまりなかったからこそひたすら「可愛い」を曲中で体現する姿が自分の中では結構新鮮で、こういう発見ができるから少数曲は面白い。そういえば以前のユニットカバーでジッパーを披露した時も同じような感覚になったっけ。2019年はTIFのTシャツステージをきっかけに、莉沙ちゃんの実はめちゃくちゃMCが上手なところを知ることができた。今年はもっと彼女がマイクを持つチャンスが増えるといいなぁと僭越ながらそんなことを思っている。
推しのいる世界は何といってもセンターののん乃から目が離せない。
あんなにもネガティブだったしセンター発表の動画で泣き出してしまったのん乃が、ばっちり真ん中で楽しそうに「アイドル」している姿を見ているとぐっとくるものがあるし、自信を評価は人間を前に進めてくれることを証明してくれているようにも思う。
花菜もそうだけど、アイドルヲタクとアイドルの双方を体験しているのん乃が魅せる推しセカはリアリティがすごい。なんていうか
推しって尊い。それな。
といったところ。雑だけど。センターの醸すリアリティが感情移入を助けてくれるし、曲にリンクした振付が可愛い。そういう曲の振りは単純な「それ」で良い。
先述もしたけど「推す」という感覚って本当に不思議で、儚いしふわふわしていて掴みどころがないくせに時々十字架みたいに重い。十字架背負ったことないけど。
今まで2人を同じグループ内で同時に推したことがないからこそ、今の自分の「推す」という感覚が余計に苦しくなった瞬間も少なくない。でも2人になったからってその言葉と想いが持つ意味に重さの変わりはなくて、「それ」が2人分になったからといって単純に半分になったわけじゃなくて、きっと全部2倍になったんだと思っている。
もしかしたら言い訳に聞こえるかもしれないけれど、「推す」という感覚を「大事」という感覚に置き換えることが可能だとするならやっぱり私は2人とも大事だし、一番とか二番とかそんな風に順位付けはしたくない。というか、できない。
中途半端だし欲張りだっていうことも分かっているから時々「ごめんね」なんて誰に宛てた謝罪なのか分からない4文字も脳裏をよぎるけど、この曲を聴いている間だけはただただ幸せな気持ちになれるから好き。
話が脱線したけどこの曲ののん乃は誰にも負けないくらい輝いてるし、「目が合っているはずなのに目が合っていないような気がする」と称したくなっていたかつての彼女からは想像もできなくらい 表情豊かに、且つ目の奥まで光が宿る笑顔を見せてくれるようになった。
ステージ上でももっと生き生きしてるのん乃に会える2020年になりますように。
9.ドレミソラシド
10.きっかけ
11.ガラスを割れ!
グループオリジナルユニット曲の後はツアーの醍醐味でもあるカバー曲たち。
今回のツアーでは日向坂46の「ドレミソラシド」と乃木坂46の「きっかけ」、欅坂46「ガラスを割れ!」がセットリストに組み込まれている。
これまではカバー曲といったらAKB48の楽曲が主流だったけれど、最近は専ら坂道の曲が使われることが多い。イコラブも例外ではないし、曲のセレクトでなんだか時代の流れを感じて寂しい。
ドレミソラシドでは踊る花菜がとにかく可愛くて、曲自体に思い入れはないけど可愛いの連続摂取は幸せホルモンダダ漏れにさせてくれて幸せになれる。
「こんな好きになると思っていなかった」
いや、ほんとそれな?(音量100)
仙台で初めてステージに三本のスタンドマイクが出てきた時は命日を覚悟した。
なぜならオリジナルの演出で同様に三本のスタンドマイクを使用する曲が存在するから。そしてその曲はかつての私の推しの代表曲でもあるから。
もうその人に思い入れや特別な感情が現在進行形として籠るわけではないはずなのに、心の底に眠っている気持ちがなにかの筈見で顔を出すとその時の感情が一気に蘇ってくるか記憶は怖い。忘れるとか無くなるとかそういうことが無い。
やっぱり「推す」って重い。
衣織ちゃんの縛られたくないし閉じ込められたくない野心が360度放出される気迫で、自分の持つカメラのレンズが割れるかと思った。
飼い馴らされることと適応することって同じように見えて全く違うし、そこで妥協することで自分を護ることも悪いことじゃない。でも意図的にそれを望んで選ぶか、知らない間に染まっていくかで意味合いが変わってくる。
やっぱり衣織ちゃんのパフォーマンスは曲全体をふわっと汲み取るだけじゃなくて歌詞を丁寧に咀嚼してから演じているからこそ深い。憑依、と一言で片づけてしまうのがもったいないくらいに。
そして今回のこの曲においてはメインで歌う3人のDivaたちをバックにソロダンスを舞うきあたんが素晴らしいんですって、、言葉も息も呑んでしまうほどに。
まだ15歳だっていう事実を認めたくない位にきあたんのパフォーマンスは豊麗な一方で精強でもある。真黒な衣装に身を包んだきあたんが人を喰いそうな形相で踊っている姿で鳥肌が止まらなかったし、また一つグループの計り知れない魅力を垣間見た。
最近きあたんの無機質な表情がすごく好きで、レンズを向けることが増えた。まだまだ底知れない彼女の留まることを知らない成長からも目が離せない一年になりそうだ。
12.ズルいよズルいね
12人で歩んだ866日は、ずっと一人の女の子がセンターで引っ張ってくれた。
髙松瞳
彼女が休業してから4ヶ月が経とうとしている。
瞳がセンターに居ないイコラブをうまく想像できなかったから、6thはどうなっていくのだろうと不安にならなかったといったら嘘になる。きっと多くの人が似たような感覚だったと思うし、それはメンバーだって例外ではなかっただろう。
そんななかでセンターを任されたなぎちゃんの本気がすごかった。
これも以前ツイートしたけれど、曲の大半をレスポンスに費やしていたなぎちゃんのステージでの振る舞いは、或る意味「アイドル」として間違っているわけではないしそれが彼女の求めるアイドル像だったんだとも思う。でも今回の曲と出来事をきっかけに間違いなくなぎちゃんのパフォーマンスは好転したし、それが目に見えてズルズルの魅力に繫がっている。
この短期間でどんな大恋愛をしたのか思わず問いたくなるくらいに一曲の中で大きなものが崩れて、そして再生する。まるでフランス映画を一本見終わったような気持ちになる。それもカラーではなくてモノクロのちょっと古い映画。そんな表現力が目の前に突き付けられるから、思わず息をするのを忘れそうになってしまう。なぎちゃんの魅せてくれるズルズルは「悲しい」とか「寂しい」とかそういう失恋にありがちな単純なものだけじゃなくて、その恋を消化したことで一回りも二回りも大人になった女の子を見ているような感覚。なんだろう、初恋の相手だった幼馴染と成人式か何かで久しぶりに再会したら、ぐっと大人になっていてドキドキする感覚に近いのかもしれない。うまく言えないけど。
そのモノクロの映画に色を入れてくるのが㍉のズルズル。センターを張るなぎちゃんの横で織りなされる㍉のズルズルは、蝋人形のように冷たくてまるで死んだような冒頭から、思い出を語る二番を皮切りにだんだん氷が融けて生命が身体に宿ってくる。淡々と語っていたかつての恋人との思い出が身体に流れて、内側から塊を融かしていく。
㍉のパフォーマンスは静止画に特化しているとずっと思ってきた。どの瞬間を切り取っても美しいし可愛いし完璧。まるでコマ送りのようだと。だから失恋して汚い感情に侵されているはずなのにどの瞬間を観ていても綺麗だし、なぜかもっともっと汚れているところを観たいと思ってしまう。そういう欲が出てくるから、油断したすきに見える儚い表情とか、歪んだ顔にハッとするし、うっかり見逃してしまいそうなその瞬間をきっちり納めてくれるカメコが付いている彼女はやっぱり静止画も強い。
もちろんだけど衣織ちゃんのとにかく悲壮感が全身を包むズルズルも良い。なんだか付け足したみたいな書き方になってしまっているのは私の低い文章力のせい。
「ありがとう」という一言がこの曲の中に入っている理由が分からなかった、と前に話していた衣織ちゃんだったけれど、ちゃんとこの恋を諦めて、乗り越えたのが分かる。それが伝わってくる気がする。たぶん彼女が彼から自律するのに季節が一周したんだろうなと察する歌詞の通り、衣織ちゃんが立ち直るのは簡単じゃなかっただろうけど。ご飯も喉を通らないし電気を点けることすら面倒くさいと思ってしまう無気力と喪失感で過ごした時間が、涙も出ない悲しみになって表れている。そこに立っているのがやっとなんだと思う。だってCメロの衣織ちゃんはいつも力なくフラフラしているから。
失恋を消化して前に進むという着地点は恐らく11人全員一緒なんだろうけど、そこにたどり着くまでの過程がみんな違うからこそこの曲は推しカメラを作っていただいて全員をゆっくり眺めてみたい。
きっと瞳がここに帰ってきたら新しい物語が見られると思うと、まだまだこの曲の可能性を感じるしそれが楽しみでもある。だから早く帰ってきてね。待ってる。
13.手遅れcation
悲壮から憎悪へ
やっぱり今季のイコラブは凄い。空気を変える力が圧倒的すぎる。
ここまで創り出す空気を一瞬で換えることができる力はやっぱり衣織ちゃんの鬼気迫る形相から放たれている気がする。
手遅れcation は私の中でも衣織ちゃんのパフォーマンスを語る上でなくてはならない存在の曲だし、それと同時にこの曲はイコラブにとって起爆剤になった。
だからこそ簡単には語れない魅力がある。手遅れの野口は凄いぞ。
きっと衣織ちゃんの身体の中を廻る血液には、その曲の物語であり主人公の鼓動が流れているんだと思う。そのくらい彼女が放つ形相は凄まじいし、トランス状態といっても過言ではない位狂ってる。もちろん褒めているのだけどこれは。
そして同じ空間で不敵に笑う大場の手遅れもまた良い。
MVで片口角を歪める笑みとはまた違う、何か「やばいもの」を手にして朽ちる心の断片をちらつかせる姿が狂気的でドキドキしてしまう。
一体どっちの推しcationを観たらいいのか分からなくなるくらいにティンターパンのcationが好きすぎるのだが。長くなりそうだから強制終了。
14.樹愛羅、助けに来たぞ
名古屋公演ではステージで寝息を立てるきあたんに「本番中だぞー!」なんて叫ぶところから始まったきあたす。
煌々と照明の点いたステージで舞香があまりに思いっきり「きあらー!」と叫ぶもんだから、舞香が曲入り間違えたのかと思って笑ってしまったw 本当に仲良しだからこそ11人が創り出す空気感が大好きで、そんなあったかい気持ちになれた曲入り。(感想がもはや保護者)
アドリブ満載自由奔放なイコラブちゃんたちを眺めるのが大好きだし、一緒に声を出してきあたんを応援するだけじゃなくてストレッチばりのフリコピするのが本当に楽しい。この曲の煽り方、盛り上げ方も本当に上手くなった。
15.アイカツハッピーエンド
そして畳みかけるように流れるアイカツのイントロ。
センターにこだわらない自分の応援スタイルだけど
推しメン、センターやん(´;ω;`)ウゥゥ
歌いだしからその後の煽りまで、一生懸命キラキラの笑顔でこなす衣織ちゃんが本当に眩しくて眩しくて。いつだって衣織ちゃんの存在は私の中でど真ん中のセンターだし、たとえどこのポジションにいても絶対に私は貴女を見つけられた。その自信だってある。でもただシンプルに、大きなステージの真ん中で歌って踊って最高の笑顔でアイドルしてる衣織ちゃんの姿が実在することがすごく特別なことに思えた。
0の立ち位置に立てるってそれだけですごいことだよ。
ちゃんと認められたってことだよ。
「君の味方だよ」
いつだって私は衣織ちゃんの味方でありたいし、そんな風にヲタクできたらどんなにいいだろうと思ってる。理想。とてつもなく難しいことだと分かっているけれど。
今までグループの真ん中に立つことが許されるような子を推したことがないから、どんどん中心メンバーになっていく君が本当に遠いけど、やり場のない「好き」が彼女を貪ることがないように気を付けたいとも思う。ゴール知らずの「好き」は暴走したら歯止めがきかないから。
仙台で初めてステージの真ん中に居る衣織ちゃんを見ていたら、知らない間に撮りながら涙が止まらなかった。嬉しかったとか、感動したとか、そういう理由じゃないしなんならなんで自分が泣いてるのか未だに分かってないけど、そういう名前の付けられない感情をくれる衣織ちゃんってやっぱり「推し」なんだ。
アイカツって良い曲だし、最高の応援ソング。来月から病棟が異動になるから、また鬼リピの日々が始まる気がする。
16.探せ ダイヤモンドリリー
大好きなダイリリが終盤に詰め込まれていたのがたまらなく気持ちを高ぶらせてくれた。これはかなり個人的な感情だけど。
イコラブの中でダイリリが一番好きだと言い切れるくらいに大好きな曲。
ピアノで奏でられるイントロもそうだし、もの悲しい切ない歌詞なのに明るい曲調と笑顔のみんなのギャップが大好き。
カウントが細かいから11人でそろえるのはきっととても大変なのだろうけど、回数を重ねるごとにしっかり全体のまとまりが出てきた。866ツアーのダイリリは複雑なフォーメーション移動の移り変わりが美しい。ため息が出てしまう。
いつだって「箱入り娘また会う日まで」と口ずさみながら踊る衣織ちゃんがたまらなく愛おしくて、「気づかないふりして」で四角く囲った指を通して飛んでくるレスがたまらなく嬉しい。
そして一度絞られた照明の下で儚い表情をうかべるきあたんが好きすぎるんだよなぁ・・・。
17.Want you! Want you!
途中でダンスアクトが挟まっているツアーバージョンのウォンチュー。
またこのダンスアクトが織り交ぜられている編曲が天才的なんだわ・・・。とにかく「可愛い」が詰め込まれていて、本編ラスト曲の部活中で最高潮にボルテージが上がるまでの盛り上げ方が構成センス抜群。
分かりやすい統一コールがある曲はやっぱりライブにおいて盛り上がりやすいし、メンバーも煽りやすそうなのが良い。
18.部活中に目が合うなって思ってたんだ
この高まりに高まりきったところでの部活中のイントロは本当にヲタクを猿にすると思う。そのくらいもはやカメラぶん投げたいくらい楽しい。
夏の太陽の下で聞く部活中も良いけど、このセットリストで最高にぶちあがった状態で聞く部活中も好きだ。
普段はあんまりコールとかしないような人もぜひ家虎からの舞香コールはま、じ、で楽しいし一回やったら病みつきになるから騙されたと思ってぜひ一回一緒に声出して欲しい。そんな風におすすめしたくなるくらい舞香→なぎちゃんパート→落ちサビ→大サビは最高に楽しい。
そして本編は最後の曲へ。と同時にしっとりした空気に。
19.866
ツアータイトルでもあり、イコラブにとって分岐になった中野サンプラザ二周年コンサートまでの道のりの数字。
出会ってからもう2年経つね
早いようで遅いような
眩しい光長い雨も みんなといて幸せだよ
今日この日まで12人 誰一人として途中下船することなく走り続けたイコラブ
舞香の休業も、瞳の休業もあったし
いろんなことが重なって正直もう駄目なのかと思ってしまった小倉ミニライブ
インフルエンザでメンバーが半分になったMX
順風満帆だといったらそれは嘘になるよね
ずっと一緒にいたいけど
きっと永遠じゃないから
この青春噛みしめるよ 今、君と進みたい
月日が流れるたび、一緒に見られた景色が積み重なるたび、終わりが近づいてくるようで。いつかみんながそこから居なくなってしまうような恐怖と不安がより現実味を帯びてくる。アイドルは永遠じゃないから。もちろん今大事にしている「好き」だって永遠じゃないから。
この駅でまた約束しよう
何十年経って大人になっても
それでも今みんなのことが好きで、夢中で追いかけた事実は一生消えないし、みんなと見た夢だって何かの形で残ると思う。
明日のことなんて誰にも分からないし、もしかしたら目が覚めたとき衣織ちゃんのことを忘れているかもしれない。だからこそちゃんとこの気持ちを伝えられる時に言葉にして、相手の目を見て伝えて、その時間を大切にしたいと思った。久しぶりにそんな当たり前のことを866のおかげで思い出せた。
中野サンプラザで初披露されたこの曲は恐らく今のところライブでしか聴くことができなくて、音源化されるのかも不明ですが。形に残らないのであればちゃんと心の中で大切にしたい曲だし、それを愛おしそうに歌う11人を見ていると「あぁ、足を運んで良かった」としみじみと思うことができる本編ラスト。
そしてアンコールらしくタオルを振り回すスタート!とクリスマスの仙台公演ではサンタバージョンで可愛かった僕クリ、いつもの締めな=LOVEがあってこのツアーは終焉となる。
本当に今のイコラブが魅せてくれる、魅せることができる最大限のライブだと思った。
セットリストとしてもそうだし一曲一曲で魅せるメンバーの個人プレーと全体のまとまりも申し分ない。やっぱり人気に火が付き始めているグループは凄い。
この限られた少ないボキャブラリーでどうやったら彼女たちの魅力を伝えることができるのか分からないけど。
最近自分のカメラを手にして、今回のツアーもカメコエリアでステージを見上げた。
でもやっぱりレンズ越しに彼女たちを見て、その掛け替えのない瞬間を切り取るのは本当に難しくて。残したいものも伝えたいものもたくさんあるのに、溢れて止まらないのに、技術が何一つ追いついてくれないのがものすごくもどかしい。ちょっと悔しい。
そんな感覚になるくらい素晴らしいライブを魅せてもらった。
2人「推し」がいる今の自分のやり方が正しいのか間違っているのか未だに答えはでないし、たぶんこれから先も一生出ない気がする。きっと誰かを時として傷つけるやり方だっていうことは分かるのだけど。でもそのくらい真剣に応援したいと思うし、何もできなくても何かしたいと願う感覚が久しぶりに自分の中に生まれるくらい今の私にとってイコラブちゃんたちはかけがえのない存在。そう言い切れる。
だからきっとこれからも私は彼女たちにレンズを向けるし、こうしてちまちまとブログも書くんだと思う。それしかできないから。
どんなに下手でも
どんなに不格好でも
ちゃんと自分の言葉で「好き」って伝えたい。
何が「好き」なのかも伝えたい。
硬い蕾は鮮やかに咲き誇る
866 これからも重ねてゆこう ずっと
明日のツアーファイナルが
11人にとって、=LOVEにとって
かけがえのない大切で特別なものとなりますように。